Vol.57 NYCマラソンに行ってきました


 10月31日のハロウィンのお祭り騒ぎが終わってすぐ、NYにはもうひとつのお祭りが待っています。それはNYCマラソン。11月の第1日曜日、NYCは3万人のランナーと、それを応援する200万人の市民であふれるのです。そう、NYCマラソンは、ニューヨーカーにとってはなくてはならない秋のお祭りのひとつなのです。

【旅行の言い訳はマラソン】
 そんなNYCマラソンに、今までマラソンどころか5キロや10キロのレースにすら参加したことのない僕が、「初マラソン」を走るために行ってきました。なんたって初マラソンですよ。一生に一度しか走ることができないんですからね(あたりまえ)。せっかくはじめて走るなら、日本人1万人以上が押しかける12月のホノルルも悪くないけど、やっぱり観光ついでにNYって、そりゃあNYLYファンなら誰しも思うでしょう。マラソンを走りたい、っていうよりNYへ行きたい、ってのがもちろん先です。ただの観光だけでNYへそうそう頻繁に行くわけにもいかないけど、「マラソン走りに行きます!」だったらなんとなく言い訳になりますよね。(本当か?)

 でもマラソンといえば、それまで僕にとってはテレビで観るもの。最後に長距離を走ったのなんて、もう20年近く前の高校のマラソン大会だし(ああトシがばれる)。そんな僕がフルマラソンを走ろうなんていう酔狂な?ことを考え始めたのは、NYでお世話になった貸し自転車屋の湯本店長が毎年マラソンに参加しているという話から。「大丈夫、誰でも完走できますよ〜。」という甘い(軽い?)言葉に乗せられて少しずつ走り始めたのが2月の話。途中「ランニングマシンでこける」という笑い話にもならないようなケガで1ヶ月走れない時期もありましたが、7月にNYへ行ったときにはセントラルパークをジョギングして気分を高揚させ、9月にはようやく30キロを走りきることができるようになり、なんとかマラソンを走る準備は整いました。目標はとにかく「完走」すること。もちろんタイムも良いほうがいいに決まってます。とはいえ、練習でもそんなに速く走っていないし、1時間10キロのペースで最後まで走ることができれば4時間半、まあ5時間くらいは行きたいな、最悪でも6時間で完走できれば初めてならまあいいかな。そのくらいの気楽な気持ちでの参加です。

 ところで、その前にNYCマラソンは参加するまでに関門があるのです。それは参加する権利を手に入れること。全体の参加者は今年は約3万5千人、日本からのエントリー枠は約500人と言われています。参加するには抽選に申し込むか、無抽選で参加できるツアーに申し込むかのいずれかの方法があります。僕は抽選に申し込んだものの落選(かなりの競争率、5倍くらい?)。ツアーはあまりにも値段が高くて(一人で参加すると40万円くらいかかるんです)躊躇していましたが、今年からHISがNYCマラソンツアーをはじめるという情報を湯本店長からゲットし、結局他社のツアーより10万円くらい安いツアーで(それでも十分高いですけど)、無事参加することができました。しかも申し込みに行った日が締め切り日だったらしくギリギリ滑り込みセーフ。これはもう神様から参加しなさいと言われているようなものですね。抽選にはずれたときは「ホノルルでいいや」と諦めかけていましたが、やっぱり初心忘れるべからず。NYだからこそわざわざ行くんだよね。

【ひとり旅】
 10月31日、いよいよNYへ出発です。長期の旅行はたいていカミサンと一緒に行きますが今回は都合がつかず僕一人。NYひとり旅もはじめてです。といってもツアーだし現地には湯本さんもいるし、不安はまるっきりゼロ。ちょっとそのへんに出かけてくるね、てな気分で出発しました。行く途中も気合不十分。マラソンに備えて機内ではアルコールも控えて体調を整えて・・・なんていうのは誰の話?たまたまアップグレードでビジネスクラス。「せっかくのチャ〜ンス!美味しく飲んで食べるのだ!」というわけで往きの機内も(もちろん帰りもですが)しっかり飲みまくりです(さすがにボトル1本とかいうことはありませんけど)。飲んで食って寝て、緊張感のカケラもないままNY入りとなりました。

 さて、NYへ到着したらまずエントリーの手続きをしなくてはいけません。ミッドタウンのハドソン川沿いにあるJacob Javits Convention Centerに行って、ゼッケンや記念のTシャツ、ガイドブック、手荷物用バッグなどを受け取ります。必要なものはパスポートとレジストレーションカード。僕はツアーだったからレジストレーションカードはHISに一括で送られてきているので、NYへ到着したらまずHISのオフィスでこれを受け取りました。ツアーなら普通はみんな一緒に連れて行ってくれますが、オプションで別の便にしたので一人で行ってきました。会場は手続きに来たランナーたちでいっぱいです。必要なグッズを受け取った後は、会場内に出展しているスポンサー各社のブースを見て回ります。ウェアやシューズはもちろん、応援用のメッセージボードや痛み止めの薬にフード類まで、いろんなブースがあります。でも人ごみは苦手なので早々に退散。このコンベンションセンター、ミッドタウンとの間に無料の送迎バスが出ていますがかなりの混雑。僕はヒルトンに泊まりましたが、ヒルトンの目の前まで行ってくれるのでこれに乗って帰りました。じっと我慢でバス待ちの行列に並ぶのですが、歩いて地下鉄の駅まで行ったり路線バスで帰る人も多かったようです。

【プレイベント】
 翌日は11月1日、マラソン前日です。この日の朝には、海外からやってきた参加者約1万人が国連本部からセントラルパークのゴール地点(Tavern on the Greenの前です)までの4マイルを走る「インターナショナルフレンドシップラン」が開催されます。僕たち(ツアーの参加者約20名)も朝6時半にヒルトンに集合、ここではじめてツアーのみなさん全員と顔合わせです。それから朝のミッドタウンを国連本部までのんびり歩いて行きました。国連本部前にはすでに各国のランナーが大勢集まっています。いろんな仮装をしている人も多く、エッフェル塔を背負ったフランス人ランナーに、相撲取りの着ぐるみ姿の日本人女性など、けっこう笑えるんですよこれが。見ているだけでもかなり楽しめます。セレモニーの後国連本部から42丁目を西へ走ります。グランドセントラル前を走り抜け6番街を右折しセントラルパークまでのコースは4マイルですから約6.5キロ、1時間もかからずにゴールした後は、朝ゴハン(ベーグル、バナナ、ヨーグルト、ドリンクなど)がもらえます。帰る途中、余っていた朝ゴハンをさらに2パックもらいました。なんだか食費がかからない旅行だったんですよね。

 その夜はパスタパーティがあります。マラソンの長丁場を乗り切るためには炭水化物をたくさん摂りましょう、というイベントですね。日本人はいつもお米を食べているのに、わざわざパスタにしなくてもいいんだけど、まあこれもお祭りの一部です。セントラルパークのレストランTavern on the Greenの周りに巨大テントが張ってあり、パスタやパン、サラダなどが食べ放題です。これがまた美味しくないんだな。ここのレストラン自体「すごい人気だけど味は最悪」という評判ですが、このパスタパーティのパスタもかなりまずいです。アルデンテなんてどこの言葉?という感じのふにゃふにゃパスタが食べられます。まあお祭りですから。最後に食べたアイスクリームがいちばん美味しかったかな。ところでこの日は、何故か虫歯が腫れまくってろくに噛めない状態だったのですが、パスタがふにゃふにゃだったので問題なし(ラッキ〜)。

【走らないとわからない?末記 その1〜スタート、スタッテン島からブルックリン】
 さあ、いよいよマラソン当日です。朝6時に集合してみんなでマイクロバスに乗りこみます。1時間近くかけてスタート地点のスタッテン島へ到着。スタート地点も野外ライブ会場のノリで(実際ライブやってます)、広い原っぱに大量のランナーがごろごろ転がっています。オニギリ2個といろんなおかずの入った日本食のお弁当を朝食でいただきます。これはツアーならではですよね。日本から個人参加では難しいでしょう?途中TV(2チャンネルだからNBC?)の朝のニュースの生中継にみんなで出演。「みんなはどこから来たの?」「ジャッパ〜ン!いえ〜い!」と叫んできました。でも誰も知り合いは見てくれないよね〜。会場はすごく広くて、エントリー会場同様スポンサーのブースがあったりドリンクや軽食のサービスがあるのですが、一番びっくりしたのはトイレ。簡易トイレ(よく工事現場なんかにある仮設式のあれです)があちこちにずら〜〜〜っと並んでいます。一番長いずら〜〜〜っ、はおそらく100個以上のトイレが連なっていたに違いありません。それでも全部長蛇の列。トイレに入るのに20分待ちでした。でも必ずスタート前に済ませておきましょう。そうでないと、途中で橋の上から・・・(以下自粛)。ちなみにコースの途中にも数箇所トイレはありますので万が一の場合も大丈夫です。

 さて、原っぱでストレッチなどしながらスタート前の調整のあと、ゴール地点で受け取る荷物(着替えなど)を専用のビニール袋に入れてUPSのトラックに預けてスタート地点へ向かいます。すでに大勢の人たちがスタートエリアに並んでいます。ゼッケンの色(緑、青、赤の3色)別にスタート地点が違っていて、さらに番号ごとの細かくスタートエリアが指定されています(けっこういい加減で、別に他の場所にいても大丈夫みたいですが)。僕のゼッケンは「44944」。な〜んか縁起の悪い番号だと思いません?覚えやすいからいいけどね。これって、かなり後ろのほうの番号で、後ろになるほどスタートラインまでの距離が長いんですよ。ということはタイムロスが大きいわけです。実際、10時10分のスタートから徐々に動き出して、僕がスタートラインを通過したのは10時20分過ぎ。10分以上のロスになりました。でもまあ気にしない気にしない。なんたって、これから何時間も走るんだから。

 スタッテン島とブルックリンを結ぶVerrzazno-Narrows Bridgeのふもとからスタートしてそのまま橋を渡って、ブルックリンへ入ったら4thAVE.をまっすぐ北上します。ほんとにほとんどまっすぐです。高低差もあまりありません。変化が無いと飽きちゃいますよね。でも大丈夫。ブルックリンに入るとすぐに沿道には応援の市民の方々がいっぱいです。このあたりはラティーノの方々が多く住むエリアのようで、沿道の応援もラテン系。にぎやかで楽しい雰囲気いっぱいです。にぎやかなバンドの応援もあるし、子供たちが手を伸ばしてランナーからのタッチを期待しています。道の端を走るとタッチ責めで大変かも。僕の見た限りではこのエリアで日本人の応援はわずか一組しかいませんでしたが、日の丸を振って、日本語での応援はめちゃめちゃうれしいです。思わずこちらも手を振って応えます。こんなに日本語の応援がうれしいなんて思いもしませんでした。インターナショナルな雰囲気の中で、日本人なんだということを自覚する一瞬です。ところで僕は4〜5時間ペース(1マイル10分前後)で走っていますから、このあたりでは道いっぱいにランナーが広がっていて渋滞気味。思うように走れないのでイライラしますが、かえってペースを抑えられるのでペース配分を考えると好都合かもしれません。しかし暑い。例年10℃前後ということが多いらしいのに、今年は日中の気温が20℃を超えて、NYCマラソンとしては20年ぶりくらいの高い気温だったのだそうです。長袖で走る予定が急遽半袖に変更、もう服装を決めるのも大変です。

 さて、長かった4thAVE.も大きな時計塔が見えてきたらそろそろおしまいです。時計塔のところが8マイル地点、このあたりはブルックリンで一番応援の多いエリアで、応援の人たちの人種もほんとに色々です。NYLYでも大人気のB&B、ワンハンドレッドさんもこのすぐ近くのようです(僕は残念ながら泊まったことはありませんがいつか泊まってみたいです)。大声援の中ようやくまっすぐな道を終わって右に曲がると、今度はだらだらと長い上り坂。イヤになっちゃいますね。でもここまでで全体の3分の1を走った程度だから、まだまだ序の口です。このエリアの応援は黒人の方が多かったです。そういうエリアなんですね。エリアごとに雰囲気がガラっと変わるのが不思議ですね。長い坂が終わって左折、Bedford AVE.に入ってしばらくすると今度はユダヤ人が多く住むエリアに入りますが、ここがマラソンのコース上で一番、独特の雰囲気を醸し出しているように感じました。男性はみんな黒の帽子に黒い服に長い髭、女性も黒い服ばかり。子供たちもおとなしめの服装で、明らかに他の地区とは違う独特の静けさのある町並みが続きます。応援も控えめで、大声を張り上げての声援というのはなく、もの静かにこちらを眺めているだけです。でも子供たちはやっぱり興味津々なんでしょうね、手を振ったりして、大人たちよりずっと楽しそうです。

 ユダヤ人街から最近人気のベッドフォード地区を過ぎて、グリーンポイントのあたりまで来ると、アップダウンの多いエリアを走ってきたこともあって、まだ全体の半分も走っていないのにちょっと疲れてきちゃいました。1マイルごとに水やゲータレードがあるんですが、食べ物はありません。自分でも持参していないし。あ〜あ、何か食べたいなあ。でも時折、応援の人がフルーツ(オレンジやバナナ)やチョコレートなどを手に持って、ランナーに渡してくれるんです。それもあちこちで。これはもう、こういうのをゲットするしかない。そう思いつつ、ちょっと手を出しにくいなあ、って走っていたら来ましたよ、ついに。目の前からドーナツとマフィンの山。うれしい〜。さっと近寄って甘〜いドーナツをゲ〜ット!いやあもう、これ1個で一気に元気になりました。ありがとうブルックリンのドーナツお姉さん。来年もよろしく。

【走らないとわからない?末記 その2〜クイーンズ、マンハッタン、ブロンクス、そしてゴール】
 とまあ大変ながらも順調に走ってきまして、いよいよ中間地点です。ブルックリンとクイーンズを結ぶPulasuki橋が中間地点です。ここですでにタイムは2時間23分。スタートのロスタイムを考えてもここまで2時間10分ちょっと。このペースでこのまま最後まで行くのはちょっと無理そうだし、たぶん4時間半から5時間ペース。なんとか5時間は切りたいなあ。なんて考えながらクイーンズに入ります。ここまで10マイル以上ずっとブルックリンを走ってきたわけですが、このクイーンズを走るのはわずか2マイル。5つのボロー全部を走るなんて言っていますが、そのほとんどはマンハッタンとブルックリン。スタッテン島なんてスタートだけだし、クイーンズは2マイル、ブロンクスは1マイルしかありません。でもまあ全地区を通るコースを考えた人は偉い。東京だったら23区全部を走るコースなんて無理だもんね〜、と考えてみたり。クイーンズは短い距離で応援の人数も少なかったにもかかわらず、2か所で日本人の方に声援をいただきました。女性と男性、どちらも一人での応援。どうもありがとうございました。

 コースはまもなくクイーンズボロ橋へと向かいます。スタートからゴールまで沿道はほとんどが応援の人でいっぱいですが、例外は橋の上。約1マイルあるこの橋の上も応援の人はいません。長い橋の上をみんな黙々と走っています。そして橋は必ず上り下りの坂道が付きもの。そろそろ疲れてきた体にこの上り坂はきつい。我慢のしどころです。やっとの思いでたどり着いた橋の中間地点から先は下り坂、そしてその橋が終わるといよいよマンハッタンです。クイーンズボロ橋を渡りきる前から何やら騒々しい音が響いてきます。その音の正体は橋の出口から1番街にかけての沿道をびっしりと埋め尽くした応援の人たちの声援なのです。大歓声に包まれながら橋の出口のカーブを曲がり、1番街に入ります。ここからブロンクスへ入るまで5キロ以上ず〜っとまっすぐ北上します。遥か先まで続く道とその道いっぱいにどこまでも続くランナーたち、さらにその両側を埋めつくす応援の人々。この光景は圧巻です。「すごい」としか言いようがない。その中を自分が走っているなんて、なんだか夢のようです。でもこれは現実。夢のようでしあわせなんだけどやっぱり苦しい道のりをまだまだ走らなければなりません。それにマンハッタンに入ったと言ってもあと10マイルもあります。これからが大変なのです。

 1番街を1ブロックずつ数えながら北上していきます。どこまでも応援の人垣が続きます。こんな雰囲気じゃ多少疲れても歩くわけにはいかないって感じです。このあたりは白人の多いエリアなので応援もほとんどが白人、たまにアジア系がちらほらという感じです。エリアによってガラっと雰囲気が変わるのもNYの面白さのひとつですね。そしてこのあたりから声援もそれまでの「GO!GO!」的なのから「You can do it!」「Good job!」といったのが徐々に多くなってきます。そんな言葉にも少しずつですがゴールに近づいてきていることを実感します。

 1番街の何丁目だったか忘れちゃいましたが(86丁目前後のどこかだったと思います)、HISの応援団が待っていることになっていたので、とりあえずそこを目標に走ります。う〜ん、どこだどこだ?と探しながら走っていたら、見つけました。左側にHISの小さな看板と手を振る人たち。ここだけの話ですが「ぜんぜん目立たねえよ(笑)」。来年からは巨大な看板かのぼりでお願いしますね。写真を撮ってもらって「頑張れ〜!あと少し〜!」の声援をいただいて再び走り始めます。やっぱり日本語の声援はうれしいんです。

 さらに1番街を北上してイーストハーレムのエリアへ。白人の応援は少なくなり、代わって黒人やラティーノの人たちが目立ちます。人数もそれまでよりはずっと少なめですが、それでも途切れることなく続いています。ずっとまっすぐの1番街ですが、けっこうアップダウンもあって徐々に疲労が溜まってきます。そして、ようやく1番街を走り終えてブロンクスへ渡るWillis Ave橋を上るところで、ついに歩いてしまいました。それまで給水所以外では立ち止まることなく、歩くこともなく、ずっと走り続けてきましたが、膝の上あたりの筋肉がもう言うことを聞かず、上り坂で挫折。応援も少なめのエリアということも挫折の原因かもしれません。とりあえず上りは歩いて、平坦になったところで再び走り始めますがやっぱり足がきつい。途中で街灯の柱につかまってストレッチしていたら、同じHISのツアーで来た方が後ろからやってきました。「ああ、おつかれさまです」「大丈夫?」「いや〜大変ですよ」なんて言葉を交わすだけでもちょっと元気が復活(単純です)。下り坂をゆっくりブロンクスへ走りだします。わずか1マイルのブロンクスも長いったらありゃしません。遠くにヤンキースタジアムを眺めながら再び橋を上り(やっぱり歩いちゃった)マンハッタンへ戻ります。

 橋を渡り終えてマンハッタンに入っても足は重く、走ったり歩いたりを繰り返します。ハーレムのメインストリート、にぎやかな125丁目を過ぎてしばらく行くと教会の前でゴスペルを歌って応援する人たちがいました。かっこいい!歌声に励まされて走ります。給水所で受け取った水を足にかけて冷やしてから少し調子が戻ってきました。さらに5番街を南下してセントラルパークの北端まで来ると再び応援の人も増えてきます。ここまで来ればあと残り5キロちょっとです。たった5キロ、練習でならラクラク走れる距離です。たったあれだけ走ればいいんだ、と思えば頑張れるというもの。大勢の応援が殊更うれしい区間です。「Good job!」(そう、よくやってるよくやってる)。「You can do it!」(もちろんさ。ゴールするよ。)って心の中で声援に応えます。もうあとは何も考えずに走るしかないです。5番街の意外にきつい上り坂を超えて、90丁目からはセントラルパークの中に入ります。パークの中もアップダウンが続きますが、給水所ごとに足に水をかけながら走ります。40キロの看板が、25マイルの看板が、残り1マイルの看板が次々見えてきます。ゴールが近づいてきています。セントラルパークの南東の端から一度パークを出て、プラザホテル前からセントラルパークサウスを西へ向かって走ります。もうここまで来たらあとほんのちょっとです。8番街の角から再びセントラルパークに入れば残り400メートル。ゴール直前の急な上り坂はかなりきついですが、ゴールは目の前、そんなこと言ってられません。上りきるとそこにはゴールが待っています。ゴールラインの時計が示すタイムは4時間54分。なんとか5時間を切ることができそうです。そういえば湯本さんがスタート前に「ゴールは上から写真撮ってますから、前になるべく人がいないようにゴールして顔を上に向けて手を上げてゴールするといいですよ!」って言ってたっけ。じゃ、人が少ないゴールに行け〜!(3つくらいに分かれているんです)でも後日写真を見ると、前に人はいなかったけど手の上げ方は中途半端だし(照れがありまして、はい)顔は上向いてないし、ちょっと失敗。でも無事ゴールできました〜。ばんざ〜い、ばんざ〜い、ばんざ〜い(心の中で万歳三唱)。

 ゴールしてもそのまま歩いて先に進みます。完走メダルを受け取り、保温用の銀マントを受け取って羽織り、ごほうび?のたべもの(ベーグル、バナナ、リンゴ、ドリンクなどだったと思います)をもらって、スタート地点で預けた荷物のピックアップへ向かいます。ところでこのピックアップまでが遠いんです。僕はたまたま近いところで受け取りだったからいいけど、遠い人はゴールしてからさらに1マイルくらい歩かないと荷物を受け取れないんですよ。ゴールしても油断できません。荷物を受け取ったらHISの集合場所へ。そこでしばらく休んで、送迎の車が来るのに時間がかかりそうだったので地下鉄でホテルへ戻りました。地下鉄に乗るのに階段を下りますが、「お、下りられない〜」(笑)。もう足がダメです。膝がガクガク。壁につかまってゆっくりよたよたそろそろと、やっとの思いでホームへ出ます。でも周りを見ると同じような人ばかり。な〜んだみんな同じですね(笑)。

【だからNYCマラソンを走ろう!】
 公式タイムは4時間54分47秒。ネットタイムといって、スタートラインからゴールまでの時間だと4時間44分25秒。順位としては下から3分の1くらいです(22000番くらい)。でもとりあえず完走が目標だったので大満足。完走したことももちろんうれしいんだけれど、終わってみて感じたのは「めちゃめちゃたのしかった〜!」ということ。一人で参加して一人で走って、孤独との戦いなんてよく言われますけど、ぜんぜんそんなことないです。それはきっと、最初から最後まで沿道にあふれている応援の人たちのおかげ。すべてのランナーに大声援を送ってくれます。ほんと、お祭り騒ぎです。マラソンを応援すること自体を楽しんでいるし、それが走っている僕たちにもそのまま伝わってきます。昨年も参加したMさんは「NYを走ったら他のマラソンは物足りなくて」と言っていましたが、きっとこの楽しい雰囲気は他のマラソンではなかなか感じられないのかもしれませんね。

 途中、少なかったですけど日本人の応援はうれしいですよ、頑張っちゃいますもんね。各国のランナーが参加し、各国の応援がある。一般市民が参加するオリンピックのようなものです。市民ランナー中心のレースでこれだけいろいろな国から多くのランナーが参加するというのは他にはないのではないでしょうか。NYでなければ有り得ない、NYだからできたすばらしいイベントなのかもしれません。確かにこんな長距離を走るのは苦しいです。走ってる最中は自分でも「なんでこんな大変なことやってるんだろう」と思います。だけど、この大歓声の中を走ってゴールしたら、もうそんなことは忘れちゃいます。充実感に浸れます。頑張って走って本当に良かった。楽しかった。うれしかった。だからまた、このNYCマラソンを走りたい。そう思います。

 そんな今年のマラソンも、終わってから既に1ヶ月以上が経ちました。来年への思いは今ももちろんそのままです(あんまり練習してないけどね)。だから来年も絶対に行きますよ〜。走りますよ〜。会社休んじゃいますよ〜(笑)。来年は「チームNYLY」を結成してみんなで走る、ってのはどうですか?さあ、明日からあなたも練習開始です。「NYCマラソンを走ろう!」
2003.12.30

  



Another New York Vol.57
NYCマラソンに行ってきました
Text まっち
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