おんなたちの晩夏 IN NY

 思えばNY初体験は5年前
 ショッピング・クレイジーの同行者につきあい、コーチにカルバン・クライン、バーニーズに メーシーズにヘンリー・ベンデルとふりまわされた印象の旅だった。ニューアーク空港がおとなりニュー・ジャージーにあることも知らず、「アークじゃなくて、ヨークに行きたいのよぉ。どこにつれてかれちゃうんだよー!」と成田で絶叫していたこと。NYが舞台であるお気に入りの漫画「バナナ・フィッシュ」で、主人公が息を引き取るNY市立図書館に足を踏み入れ、黙祷をささげたいような気持ちになったこと。ホテル・ペンシルバニアの朝食バイキングで山盛りフルーツと、当時はあまりメジャーではなかったベーグルの噛みごたえに感激したこと…。想い出深い珍道中だったけど、カフェがひしめくビレッジ、アーティストの集まるチェルシーを散策できなかったこ とは心残り。前回の反省をこめて、今回は街の空気をもっと味わおう、ゆっくりまったり歩こう。でも、NYグルメ(ベーグル、デリのお惣菜、オーガニック食品)もはずせないよね・・。果たしてその野望は五年後の晩夏に果たされることになるのだった…。

 ビレッジの日常??
 ユニオン・スクエア付近にて、お目当ての自然化粧品店(NY発!だから本店のハズです。でも堅実でジミな雰囲気のお店)Kiehl'sを発見。保湿力が抜群と評判のリップ・バーム(ばかり)を買う。美大生風の日本人男性二人組みの姿もみかけた。その後、こぢんまりとした店構え、小ぶりのベーグルが売り物のMurray's Bagels(オススメ。ほうれん草入りグリーンの生地のもの。 ライ麦入りマーブル生地、キャラウェイ・シード入り等変り種があります。一個60セント)でベーグルをゲット。とりあえずお昼はリーズナブルにバーガー・キングにしようと、店内カウンターに進む。すると常連とおぼしき初老の男性が店員に向かって罵詈雑言、怒鳴りまくっている現場に遭遇!(NYではよくある現象なのか?)。すっかり恐れをなしてしまった我々は「バーガー・キング」から逃げ出し、明日の朝食用だったベーグルを歩きながらかじり、「詩の朗読」(友人は映画「いまを生きる」のファン)をやっているらしいNY大学付近のアイリッシュ・パブに向かったのであった。

 おんなのこはコスメがお好き?
 ワシントン・スクエアやNY大学周辺は、ミッドタウンやアッパー・サイドに比べると道が込み入っていて、NYにしては迷子になりやすい。お目当てのパブを見つけかね、大学周辺の垣に腰を下ろして一息ついていると、学生風の中国系と金髪の人なつっこい女の子二人組が声をかけてきた!手提げ袋のロゴを見たのだろう。"Oh! Kiehl's! Where did you get that?" (てなせりふだったと思われる)と満面の笑顔。NYに似合わぬフレンドリーさ。彼女たちも旅人だったのだろう。アメリカの女の子にとってもKiehl'sは憧れのブランドなのだな…。シャイな私たち。顔をややひ きつらせつつ、"uh….3rd Ave. 14th St. perhaps, Maybe"(何だか自信ないのみえみえの答えですね)と、お答えする。その後、「旅行で来たの?」とか「学生さん? 」 「いえ、私たちは社会人、ジャパニーズよ。」とか月並みな会話(笑)が展開され、ほどなく"Have a Nice trip! Bye!" と互いにスマイルで別れる。

 ギネスビール&ジャマイカコーヒーに酔う
 おめあての「詩の朗読会」つきアイリッシュ・パブはNY大の目と鼻の先であった。背後にカクテルやウイスキーのボトルをずらりと並べ、赤ら顔のアイリッシュ系と思しきお兄さんがひとりでバーテンをやっている。お客サンは銀髪の老紳士がひとり。常連さんらしい。カウンターにはりついて、ひとり黙って酔い心地である。店の奥にはドラム・セットが控えており、夜にはライブ、セッションなど楽しめるのであろう…。しかし詩をよむ気配はまるでない。だいいちお客サンが3人しかいないじゃないか。「まぁ呑もうか」と友人。まだ日は高く、お散歩日和のマンハッタンだったが。うむ。とりあえず頼んじゃうか。アイリッシュだからビールはギネスで決まりだ。友人も同じくギネスで。"One Pint Guinness,please." ジュワジュワとジョッキから豪快に泡を搾り出しながら、なぜかバーテンは携帯電話で話しつづけていた(笑)。9 dollarというので、うん、2ジョッキで9ドルだね!と思ったら,なんと一人につき9ドル。10ドル札を2枚出したら、お釣りが2ドル!ええっ?TOKYOより高くない?正直ひるんだが、何も言えない私達…。しかし濃褐色のギネス。苦味と泡の美味さは際立っていた。口あたりは重く、日本のビールのようにゴクゴクとはいきません…。とにかく呑もう。旅の醍醐味。昼から酔おう。しかし、バーテンはちっとも構ってくれない。MTVのような番組、ひいてはレオタードのお姉さんが踊っている番組を見ふけっている。老紳士は淡々と呑みつづける。ほどなく表でガヤガヤと車の周囲に人だかりが。友人が勇気を出してバーテン&老紳士に「なにごとでしょう?」と尋ねると、「なんだかFamousなWriterがあらわれたようだよ」とのこと(結局誰だったのかは未確認)。ベーグルしか入って いない胃袋にビールを流し込んで、既にできあがってきた私達。どうもぼられてしまったようだが、「昼からパブなんて粋だよね」と、とりあえず納得。酔いどれスマイルで「Bye!」と店を後にした。

Sweet Basil ワシントン・スクエア周辺。これが評判のカフェの群れか…と感心。こぢんまりとシックにまとまったカフェの数々。Caffe Reggioなどの有名店もみかけた。アンティークな木目調の落ち着いた内装の店。おきまりのオープン・テラス。ついでにお客サンもセンスのとがったステキな人たち。酔っ払いだったせいもあり、どうも恐縮してカフェには入れずじまい。かわりといってはなんだか、有名なジャズ・クラブのSweet Basilに潜入。夕方前だが、店内は薄暗くジャズらしい夜のムード。早くもセッションの真っ最中。ドラムやベースやサックスがイイ感じに響き渡っている。左奥の二人がけの席に腰掛けると、なぜか団体で来ていたお客サンがそそくさと店を離れ始めた。「あまり他に人がいないと、落ちつかないねー」などと語っていたら、せっかくのジャズ・セッションも徐々にフェード・アウト(笑)。バンドのメンバーはステージを離れ、ウェイトレスのお姉さんらと談笑し始める。まぁいいか。とにかく日本では敷居をまたげない類のシックで粋な店だ。

 ほどなくしてドレッドヘアの魅力的なウェイ トレスがメニューを持ってやってきた。マイルドな声でゆっくりと話してくれる。笑顔も優しかった。料理のボリュームを覚悟して、「スペシャル・ハンバーガー・プレイト」を一つ。焼きかげんはミディアムで。友人はアイス・コー ヒー(だった。たぶん)。私は名前に惹かれ「ジャマイカ・コーヒー(うろおぼえ)」を注文。
 運ばれてきたのは予想通りパワフルなボリュームのスペシャルなハンバーガー!小食(?)のわれわれは二人でシェ アすればお腹いっぱい。グリルで焼き目のついた肉汁したたる桃色のバーガーはあっさりしていてなかなかの味。添えられたフライド・ポテトもカリッカリッの食感でグー。さて飲み物。ジャマイカ・コーヒーはなんとリキュールのキーーンときいた大人っぽい濃厚な味。ますます酔いに拍車がかかってしまう……。頭がふわふわしてわけもなく楽しいのだが、この先大丈夫?PIYOKOさんのコラムを思い出しつつ、「お勘定したい」旨、手でペンを動かすサインをすると、ドレッドヘアのお姉さんが離れのキャッシャーから近づいてきて、なんなく支払い終了。ホッ。友人の落とした帽子を拾ってくれたりとウェイトレスの気配りと優しさ、料理のおいしさに感謝して、チップを多めにはずんだ。
 この後、酔ったまま地下鉄で50th St.付近まで戻る。ホテルにつくなり私はベッドに倒れこみ、夜まで爆睡。その間、友人は身支度してミュージカ ル・RENTをひとりで堪能してきたという。しかも2回も!ややしなびたしょっぱいプレッツェルが彼女のおみやげだった。

  NY上陸3日目、おんなたちの晩夏でありました。
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その他のImpressions.

Dean&Deluca SOHOのBroadwayぞい。まさにきらめく食材天国。 ワインのような価格でイチゴの香りのビネガーが売られていました。我々は 「ドラゴンロール(アボガドとウナギ)」と「TOFUロール」(どちらも巻き寿司)をゲット。

Strand Book Store JOJOさんのコラムにもあるよう、古本屋らしい雰囲気のある店。手荷物を預けて店内に入ります。ロゴの入ったトー トバッグも販売中。無料配布されているパンフレットの表紙の作家、ヘミングウェイと思いきや、ブコウスキーでした。(笑)

H&M 五番街。雑誌等でも紹介されている激安アパレルショップ。店内はホールのように広々。閉店30分 前にとびこんだため、店員に急き立てられるようにして買い物しました。なかなか今時のアイテムがそろっています し、ヨーロッパ発なのでサイズも比較的小さめです。バーゲン会場のような賑わいをみせ、試着室の前には長蛇の列 が…。

La Parisienne ミッドタウン7th Ave.ぞい。NYでなぜかパリ・ジェンヌ(笑)。はじめて朝食をとった店。朝食にはトーストやベーコン、パンケーキや卵料理。おかわりつきコーヒーのサービスなど。居心地のよいお店です。

セント・パトリック教会 五番街に突如あらわれる荘厳な建物。都会の喧騒に疲れたら、ぜひ入ってみてください。記帳をすると世界各国から人々が訪ねていることがわかります。夜、私達がこの教会から出てきたところ、アップル・ツアーの2階だてバスがとまり、カメラのフラッシュ攻めにあいました(笑)。

ゴスペル&ハーレムツアー トミー富田氏が同行する団体向けツアー。バスでハーレムとゴスペルの教会まで連れていってくれる。ソウル・フードのランチもついていたがレストランではな く、教会2階にある集会所のような場所でカフェテリアよろしくならんで食事をとりにいかねばならず。90ドル。うーーん。日程があえば水曜のアポロ・シアターのアマチュア・ナイトに行った方が満足度は高かったかも。個人で来られていたJOJOさんと接近遭遇できたのが収穫でしょうか。ハーレムの町並みをこの目で見、教会で大勢の人と握手をかわして胸がいっぱいになったのは間違いないのですが。

 2000.10.30 TEXT BY Mimoliza




Another New York Vol.08

おんなたちの晩夏 IN NY
by
Mimoliza

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