Vermeer and the Delft school (フェルメールとデルフト派展)
   March 8 〜 May 27 , 2001
   Metropolitan Museum of Art (MET)
   Special Exhibitions Galleries, 2nd floor, The Tisch Galleries

 METは市営地下鉄(MTA)4,5,6線の86St駅から歩いて約5分くらいで着きます。5th AVに面した美術館正面にはでかでかと「VERMEER」の文字が書かれた垂れ幕が掲げられていました。

 私は、3月21日(水)と24日(土)の両日行きましたが、開館の9:30の約10分前にはもうかなりの人が入口周辺にオープンを待っていました。特に24日は土曜日という事もあり、150人以上の人が階段付近まで集まっている状況でした。
 チケット売り場は計6ヶ所あるのですが、どうしても入って正面の2つに人が集中します。逆に左右の売り場へ直行すれば待たずにチケットを買うことができます。今回のような大々的な特別展にもかかわらず、通常の入場料10ドルのままで入れるのでは驚き以外の何ものでもありません。
 さて、入場するや否や、皆、足早に中央階段を駆け上がり、左へ曲がり一目散に特別展会場を目指します。誰もがお目当ては同じなようです。通りすがりに印象派のすばらしい作品も目に入るのですが、ここはぐっと我慢してフェルメールへ一直線です。

 特別展のエントランス付近では、音声ガイドの貸し出しも行われていて、ここもかなりの行列ができています。私は英語の解説を聞いても分からないので、そのまま展示室へ直行しました。時計とは反対まわりに10の展示室がエントランスを中心に取り囲んでいて、フェルメールの作品はそのうちの6部屋に成立年代順に分けて展示されてありました。

では、フェルメール15作品を展示順に観て行きましょう。(bヘカタログの番号です)

1.Diana and Her Companions (ディアナとニンフたち) 64
  http://www.cacr.caltech.edu/~roy/vermeer/lww.html
 2番目の展示室に他の作品に混じってポツンと一枚だけフェルメールの作品が展示してあります。ちょっと見逃してしまいそうな展示のしかたです。
 この絵は以前オランダのマウリッツホイス美術館で一度観たのですが、どうもその時の印象と違って見えました。と言うよりはっきりと違うのです。どうやらカタログによると1999〜2000年にかけて修復を施したらしいのです。しかも背景の空色の部分はフェルメールが亡くなった後に描かれたものらしく、今回の修復では元の?ように空色の部分は無くなっています。これは大きな違いです。別の作品に見えます。背景が暗くなった所為もあり、女性の服が明るく見え、光の演出がフェルメールらしく感じられるようになりました。
 以前からこの作品については、フェルメールの作品ではないのではという疑問がつきまとっていたので、こういった思いきった修復がなされたのかもしれません。マウリッツホイス美術館にはこの絵の他にあの有名な「真珠のイヤリングの少女」(「青いターバンの少女」)と「デルフトの眺望」を持っています。この2枚と比べるとどうしても贋物っぽく見えたので、これだけの修復がなされたのかもしれません。それにしても見違えました。
 小林頼子さんはこの絵を真作としていませんが、さて、皆さんは如何思いますでしょうか??

2..Christ in the House of Mary and Martha (マルタとマリアの家のキリスト) 65
  http://www.cacr.caltech.edu/~roy/vermeer/jfh.html
 5番目の展示室に入ると正面に立ちはだかるようにしてこの絵が展示されています。私は初めて観る作品だったのですが、第一印象はフェルメールの作品にしてはかなり大きいという事でした。また、カタログや作品集で見るよりずっと明るく、迫力のある絵です。どこからあたっているのか分からない光が作品全体を照らし出しています。
 手前のマリアのキリストを見上げる目が得も言われずいい雰囲気があります。また、スカートや頭巾の表現などフェルメールの真骨頂である細やかなひだや、光のあたり方などかなりの出来です。
 マルタもまたそうですが、彼女の左腕が特に光っているのはキリストの光の所為なのでしょうか?画集を見ているときはスカートだと思っていた白いテーブルクロス、キリストの体の位置と椅子の微妙なズレなど本物を前にしてゆっくり鑑賞して初めて発見できたものが多くありました。
 また、この作品の前には長椅子が置かれていたので、のんびりと腰をおろしてかなりの長時間観ていました。隣の外人のご老人曰く「ゴージャス!!」そんな気になるしっかりとした作品でした。

3.The Procuress (やり手婆) 66
  http://www.cacr.caltech.edu/~roy/vermeer/udn.html
 難しい単語の題名なので一応辞書を引くと売春を斡旋する人とあります。この描かれた4人のうち左から2番目のお婆がそうなのでしょう。正方形に近い大きさのキャンバスに4人並んで描かれています。フェルメールお得意の光の表現はあまり見られません。この作品の構成は当時の主要構成要素だった物が多く描かれています。キャプションの横には参考作品として1626年に描かれた他の画家の同じような絵が展示してありました。
 右から2番目の買い手であろう赤い服の男の左手が大きくいやらしので目が行きますが実は右手でコインを差し出していて、そのコインがキラッと光っています。またそのコインを見つめ手を差し出す女。そしてお婆のこれまたいやらしい目つき…結構一目でわかる物語がシンプルに描かれています。
 左端の男を画家自身とするような説もありますが、さて如何なものでしょう?
 半分から下がテーブルクロスと男の服で二分されていますが、今一つ空間的に分かりにくい感じがします。また下から四分の一くらいに山折に折られたような跡があったのが気になりました。


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Another New York Vol.17

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Tak

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