Vermeer and the Delft school (フェルメールとデルフト派展)  Vol.2
   March 8 〜 May 27 , 2001
   Metropolitan Museum of Art (MET)
   Special Exhibitions Galleries, 2nd floor, The Tisch Galleries

4. A Maid Asleep (眠る女) 67
http://www.cacr.caltech.edu/~roy/vermeer/huh.html 
 昨年同じメトロポリタンで観た作品ですが、去年に比べて大きく感じられました。描かれている女性ももっと痩せていたように思えるのですが…一年で太ったかな??
 この作品は、フェルメールが随分と試行錯誤を繰り返したようで、X線で見ると下地に現在はかかれていない物があったりするそうです。(キャプション横の説明によると奥の部屋に猫が描かれていたらしい。)
 空間処理がうまく出来ていないとか本には書かれていますが、私はこの絵が好きです。何となくアンニュイな雰囲気があってちょっと他のフェルメール作品にはない良さがあります。画集で観ていた頃はそれほど気にしていなかった絵ですが、去年実際観て一目ボレせいた一枚です。
 おでこの部分の髪型が後から足されたような気もしますし、テーブル手前にある白いボトル横の硝子球などよく分からないのですが、良い雰囲気を持った一枚です。以上3枚が5番目の部屋に展示されてます。(この作品と「娘の頭部」はMETから貸し出し出来ないのでこの後のロンドンでは展示されないはずです。)

5. The Little Street (小路) 69
http://www.cacr.caltech.edu/~roy/vermeer/lek.html 
 7番目の部屋にこの作品と次の「ブドウ酒のグラス」が展示されています。
 「小路」はフェルメール作品中2枚だけある風景画の一枚です。我々日本人の感覚で初めこの絵を観ると描かれた建物がだいたい2階建てくらいのものに見えます。ところがそうすると、人物が建物に対して小さ過ぎるのに気が付くはずです。そして改めて今度は人物を基準に建物を見ると4、5階建てのものだったと初めて理解できます。
 オランダのアムステルダム国立美術館で観た時も同じ感覚に襲われましたが今回もまたそうでした。どうしてもその土地の文化を意識して見ないとこうなります。今でもオランダに残るこの絵に描かれた家は、かの地ではもっともポピュラーなものです。昔オランダはその家の入り口の大きさに比例して税を取ったことからこのような縦長の家の造りになったそうです。因みに家具などは中央一番上の窓上のある鉤(フック)で吊るし上げて各部屋に入れたそうです。たった一枚の何気ない風景画からもその国の文化の一端が見る事が出来るのは楽しいことです。
 また、オランダ特有の低い雲の描かれた空もこの絵の魅力だと思います。左下の白い壁にさりげなく書かれたサインが印象に残りました。(この作品はMETだけの出品で、ロンドンには代わりに「牛乳を注ぐ女」が来ます。) 

6. The Glass of Wine (「ぶどう酒のグラス」) 70
http://www.cacr.caltech.edu/~roy/vermeer/wnn.html 
 ベルリンから貸し出された今回の目玉作品のうちの一枚。横長の大きな絵です。
 言葉では表現が難しいのですが、左の窓壁周辺の光の処理が巧みです。奥のブルーのカーテンにあたる光と、手前の窓ガラスにあたる光の二段構えで表わされています。(間の柱を利用し光を二分している)窓ガラスにあたる光では、半分開いた窓の右の柱に当たる部分ともう一枚の窓ガラスに当たる部分と外の部分との違いなどかなり色々なテクニックを駆使して積極的に描かれているのが印象的です。半ば実験的とも言える多彩な表現が小さなスペースに余すところ無く描かれています。
 そして、その窓から差しこんだ光は、室内の色々な物に反射し表現されています。左下の長椅子、手前の椅子に置かれた楽器、ワインの入ったボトル、そして女性の服。(上半身ピンク、下半身赤)まるで謎解きのように光のエッセンスが散りばめられた作品です。
 この絵の前に多くの人が足を止めていた理由も分かるような気がします。また、作品横には同じような実物のワイングラス(bP59)も展示してありました。

7. Young Woman with a Water Pitcher (水差しを持つ女) 71
http://www.cacr.caltech.edu/~roy/vermeer/cvv.html 
 隣の8番目の部屋に他の作品に混じり一枚だけ展示してあります。
この絵はメトロポリタン所蔵ですが、METのカタログの表紙を飾るくらい有名で完成度の高い作品です。「METで一枚だけ何が観たい?」と聞かれたら間違いなくこの作品と言います。とにかくバランスが良く安定感のある絵です。
 中央に描かれた女性の上半身真ん中を通る青いラインを中心軸にこの絵全体のバランスが保たれています。本来なら水差しを手にして、窓を開けているという動きのある場面のはずが、まるで時が止まったかのようにピタッと静止して見えるわけですから不思議な感じさえします。
 勿論、お得意の光の演出も円熟した素晴らしさがあり、特に女性の頭から顔にかけて覆っている布の左側の光が当たっている部分などまさに透き通っていますし、反対に右側は逆に頭の形まで分かるくらいの影が描かれています。
 更に、左右の肩の部分の「白」の違いからもそれは明らかだと思います。
 私はこの作品のカッチリした雰囲気と、光のマジックに魅了されました。

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Another New York Vol.18

Vermeer and the Delft school
フェルメールとデルフト派展 A
by
Tak

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