Vermeer and the Delft school (フェルメールとデルフト派展)  Vol.4
   March 8 〜 May 27 , 2001
   Metropolitan Museum of Art (MET)
   Special Exhibitions Galleries, 2nd floor, The Tisch Galleries

12. The Art of Painting (絵画芸術) 76
  http://www.cacr.caltech.edu/~roy/vermeer/ycg.html 
 今回の展覧会で一番観たかった作品です。なにせ、以前オーストリアのウィーンまでこの絵を観る為だけに行って観られなかった作品ですから。また、この展覧会のポスターやカタログの表紙にも使われている作品でもあります。
 5枚のフェルメール作品があるこの部屋の中でも圧倒的な存在感を醸し出していました。
印象としてはとにかく明るいことです。この絵だけスポットライとでも当たっているかのように明るく見えました。その明るいカーテンの向こうにあるであろう窓からの光に照らされた彼女もまたとても輝いて見えました。これだけ明るいと、一つ一つの色合いがはっきりしてきます。例えば画家の履いているソックスの赤と服の黒のコントラスト。また彼女の服の綺麗なフェルメール・ブルーと黄色い本のコントラスト。
 隣にいた外人さんが「ビューティフル」とつぶやいたのも良く理解できます。
 また、この絵の前のかなり離れた場所に椅子があったのですが、そこに座って眺めていると、「カーテン」を一番手前にして奥に「画家」更にその奥に「少女」といった配列が明確に見えてきます。それが更に時間をかけるとカーテンを押さえてあるのに使われている椅子、テーブル、その上に置かれた石膏、奥にある椅子など手前からの順番が曖昧になってきます。
 画集を見ていたのでは気が付かなかった、スカートの裾にあるライン状の模様や、床にできた画家の影など見所満載です。
 2回目に行った日は入り口から逆行して、真っ先にこの絵の前に立って一人で独占して鑑賞しました。満足満足。開館30分くらいするとやはり流石に込み合ってかなり見ずらくなります。朝一番が勝負です。
 
13. Allegory of the Faith(信仰の寓意) 77
  http://www.cacr.caltech.edu/~roy/vermeer/tcr.html 
 この作品は今回の展覧会に合わせてやはり修復・洗浄したそうです。去年観た印象より薄っぺらく感じられました。「絵画芸術」が奥行きが何層もあるのに対して、この絵にはそれが感じられません。同じようなカーテンが前にある構図にもかかわらずそうです。不思議なものです。
 カーテンは洗浄したのがはっきりと分かりました。とにかく明るくなってます。明る過ぎて重みがなくなったようにも感じます。でも、このカーテンに描かれた模様は面白い。
 フェルメール晩年の作品といわれており、依頼されて描いたともされています。天井からぶら下がった硝子球の表現に光を感じることが出来ますが、あとは沢山の寓意が描かれているだけでこれといった凄さは感じられません。
 気になったのは、画中画のキリストとテーブルの上のキリストの像の脚の向きが逆なところくらいです。

14. Young Woman Standing at a Virginal (ヴァージナルの前に立つ女)
  http://www.cacr.caltech.edu/~roy/vermeer/hgf.html 
 ロンドンナショナルギャラリーからの同じような構図の2点が同じ壁に並んでかけて展示されてあります。両方ともフェルメール晩年の作品と言われているものです。
 ますは、立っているほうの絵ですが、左窓からのいつもの光に対して背を向ける形で女性が立っている為、顔に影が出来てしまっています。それは仕方のないことなのかも知れませんが何とも顔色の悪い女性です。以来されて描いた絵ならこうは描かなかったと思います。
 後ろの画中画があまりにもはっきりし過ぎていて(特にキューピット)邪魔に感じます。勿論意味合いが込められているのでしょうが、女性とキューピットの2人に見つめられているようです。
 私は床の周りのタイルの絵柄と、椅子のクッションの部分の表現がこの作品では秀逸だと思います。
 ヴァージナルという楽器も同じ部屋に展示されていましたがかなり横長の楽器です。次の作品ではそれが分かるのですが、この作品では知らないとちょっと理解しづらいと思いました。

15. Young Woman Seated at a Virginal (ヴァージナルの前に座る女)
 http://www.cacr.caltech.edu/~roy/vermeer/nbe.html
 これが、今回の展覧会最後の作品です。実は私はこの作品がフェルメール自身の最後の作品ではないかと思っています。別段主だった理由もないのですが、ヴァージナルを弾く彼女の本当は笑っているのにもかかわらず、何処となく寂しそうな顔つき。窓のない部屋。
 手前のカーテンが舞台の幕のように静かに演奏が終わるのと共に閉じると、もうフェルメールはニ度と筆をとることはなかった……といつもこの絵を観るたびに考えてしまいます。それくらいの雰囲気を持った作品です。
 この作品と構図がそっくりの作品が右に並べて展示してありました。説によるとその作品もフェルメールのものとする人もいるそうです。でも、私は違うと感じました。この絵の寂しさに加えて、空間的な圧迫感があるフェルメールらしからぬ絵だったからです。


 最後の部屋を出る所にフリック・コレクションの案内がありました。フリックさんの遺言で作品は貸し出しできないので今回の展覧会には来ていませんが、METから歩いても行けますし、バスに乗ったら本当にすぐの所です。3枚のフェルメールを所有していますので、METと併せて観ると1日で18枚ものフェルメールを見られることになります。これから先まず、こんなことはないかと思います。私も実際行きましたが、いつもと展示スペースを変更して3点並べて展示してありました。ここは音声ガイドの日本語がありますし貸し出しは無料ですから是非使ってみるのをお勧めします。

 最後の展示室と出口の間にミュージアムショップがありましたが、日本とは違って特別にこの展覧会用に作った物はカタログとポスター、CDくらいしかありませんでした。因みにカタログがハードカバー75ドル、ソフトカバー50ドル、ポスター17ドル、CD16ドルくらいでした。カタログは626ページからなる大変豪華な物で、重さも4kg近くあり持ち帰るのに一苦労しました

TakさんのHP BLUE HEAVEN へもどうぞ!




Another New York Vol.22

Vermeer and the Delft school
フェルメールとデルフト派展 C
by
Tak

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