Vol.13 私のMARCH FOR PEACE  3/22/2003


湾岸戦争の後、私はジャーナリスト達が引き上げた直後の中東を旅していました。ヨルダンのアンマンで、街を破壊され逃げ延びてきたイラク人達から戦争の話を聞き、「アメリカって何だろう」と思ったことが、それまでシルクロードにしか興味のなかった私をNYに向かわせるきっかけになりました。

あれから十数年たって、今回の戦争をNYで見つめていて、多くの疑問や怒りや、説明のつかない混沌とした気持ちが胸の中に凝縮されてゆくのを感じ、思い立って3月22日の行進に参加してみました。

それは「反戦デモ」というようなものではなく、まさに「平和行進」で、たくさんの親子連れや杖をついたお年寄りまでが参加するにぎやかなもので、なんだかうきうきした雰囲気が漂っていました。天候に恵まれたせいもあって、行進は大変穏やかで、警官は笑顔で見守っているし、黒人のアマチュアヒップ・ホップ・グループや、ラテン系のパーカッション、韓国の民族ドラムなど、いろいろな音と一緒に、青空の下をのんびりと川のようにブロードウェイを下ってゆきました。

ユニオン・スクエアを過ぎたあたりで、あるビルのベランダから紙吹雪が舞いました。ピンクのワンピースを着た4歳ぐらいの女の子が、かごに入った紙吹雪を撒いてくれていたのです。隣に立った父親らしき男性はオカリナのような楽器を「ボーッ」と吹き、音に乗った紙吹雪がブロードウェイに降ってくるのに合わせて、路上の人々が歓声を上げました。それは本当に美しい一瞬で、まるで空に蒔かれた輝く種のように、灰色のビルの谷間の人々の中に溶けてゆき、すべての音が止まったかのような、ため息の後の静寂がブロードウェイを包みました。

9.11のテロのあった日、避難する人々が恐怖に駆られて上がってきたブロードウェイを、この時平和のために下ってゆく人々の間で私が思ったのは「戦いをやめて、皆で生きようよ」ということだけでした。

私は人より少し多く、長く旅をした絵描きにすぎません。人間が好きで、そればかりを描き、いつもその何気ない日々の生活の中にある美しさに、永遠のものを見つけようとしています。人間の美しさにはっとさせられるたび、人間がそれほど悪い生き物ではないと信じる気持ちを強くします。

どこまでが真実が分からない毎日のニュースでいいように振り回され、不安にされ、気持ちを切り刻まれながら、この戦争の是非について理屈をこねるより、皆で生きるということを考えたいと思います。

NYでは あらゆる民族、あらゆる思想を持った人が一緒に生きています。ここでできることが、いつか世界中で可能になればと思わずにはいられません。

早くこの戦いが終わることを望みます。
(2003/03/30)
写真左上:ワシントン・スクエアでは、置かれたチョークで皆がハートマークを書いていました
写真右下:ユニオンスクエアから23丁目方面を望む



 このコーナーではB&B-The One Hundred のオーナーのYOKOさんからのメールを掲載させて頂いています

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ブルックリンにあるB&B、ザ・ワンハンドレッドのオーナー。アジア、中東、アフリカ、ヨーロッパを旅した紀行画家。

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