Vol.14 NY、自分と一人旅


昔、パキスタンの山岳地帯を旅していた頃の話です。フンザという村の食堂で、窓から見える氷河を眺めていた時のことです。

たまたまそばにいた日本人の男の子が「こんな素敵な景色を、好きな女の子と見られたらいいですよねー。」と言うので、「じゃあ、この次は彼女を作って一緒に旅行したらどうですか?」と、私が言うと、「やめてくださいよー。こんなとこまで来られるようなたくましい女と付き合いたくありませんよー。」と返され、まさにそこを一人で旅していた私は、「ぽっつーん、、」といった状態になってしまいました。

最初は何人かと旅に出て、わずらわしくて、それからいつも一人で旅するようになったのですが、私は決して一人旅賛成派ではありませんでした。ただ、一緒に行ける人がいなかったのです。そうして一人で旅していくうちどんどんたくましくなっていって、ついつい一人が楽になっていったのは本当ですが、危険な目に遭ったり、病気にかかったりするたび、誰かと旅ができればと思わずにはいられませんでした。

でも、NYは初めて来た時から一人旅にぴったりの街だと思わされました。

朝のブライアントパークでコーヒー片手にベンチに座ってすずめを眺める時。午後のソーホーの交差点で、風に吹かれながら信号待ちをしている時。黄昏のセントラルパークを深呼吸しながら のんびり歩く時。私はこんな一人旅っていいなーと思いました。いつも自信の無い自分が、とってもかっこよく思えたのです。

あらゆる人種が入り混じるニューヨークに、自分がすっぽりとつつまれて、その中に溶け込んだように思えました。「私は私。日本人でも、旅人でもなく、一人の人間としてここにいる。」そう思えました。

思うに人は、旅に出て、自分自身やそこにいない誰かのことを思うのが好きなのかもしれません。「この景色を君と見ることができたらどんなに素晴らしかっただろう。」と思いつつ、「でも、それを今は独り占め、ごめんね。私はそういう人間なんだ。」というのが切なくて、ロマンチックで、それでも孤独な旅を選んだ自分の強さになるのだと思います。だから、一緒に旅ができる人を求めつつも、本当は、一人で風の荒野に向かってゆく自分が好きなのです。

一人で旅する機会に恵まれたら、一人ぼっちだと思わずに自分と一緒に旅するのだと思ってください。いつもいつも、たくさんの人のことを思って気を使っているのだから、旅の間くらい、自分のことだけ見つめてあげてもいいのではないでしょうか。

(2003/07/27)



 このコーナーではB&B-The One Hundred のオーナーのYOKOさんからのメールを掲載させて頂いています

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ブルックリンにあるB&B、ザ・ワンハンドレッドのオーナー。アジア、中東、アフリカ、ヨーロッパを旅した紀行画家。

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