Vol.15 グラウンド・ゼロへ


あの日から2年が経とうとしています。

よく、「観光客として無邪気にグラウンド・ゼロに行っていいものか?」と質問されます。この問いは、実は本人が思われているよりも深いところから発せられているので、私の個人的な考えを押し付けるのはどうかと思うのですが、答えを見つける鍵になればと思い、これを書くことにしました。

私の友人はあの日、WTCそばの彼女の仕事場から避難命令を受け、ビルから飛び降りて落ちて来る人々を見上げながら、市役所までの道を駆け抜けました。激しいショックを負った彼女にカウンセラーがしたことは、わずか2週間後に彼女を現場に連れてゆくことでした。

「大切なことは現実を見つめ、受け入れること」

1年後には、同じオフィスにもどり、今は新しいビルに入るテナント向けの広告を作っている彼女に、私は人間の強さと美しさを観ました。

今の情報通信システムが高度に進んだ現代社会に生きる私たちですから、そこにいなかった、当事者ではないというだけで、被害者ではないと断定できないと思うのです。テレビや雑誌で何度も何度も繰り返し映像を見せられて、知らぬうちに傷ついた人々は沢山いると思います。

今は観光客としてNYに来られる皆さんが、全くの部外者であるとは思いません。「グラウンド・ゼロに行ってもいいものか」と言う問いは、傷ついた心が発する言葉なのかもしれません。

私は、今NYに来られる機会があるなら、グラウンド・ゼロに行って欲しいと思います。

そこで、人々がどれほどのエネルギーを注ぎ込んで失われたものを取り戻し、それ以上のものを創り出そうとしているかを観て欲しいと思うのです。

悲惨なイメージばかりを切り取るマスコミが取り上げなくなった今こそ、私はご自分の目で見つめて欲しいと思います。

そこにあるのは人間の再生力です。どれほど傷ついても立ち上がってゆく、人間の歴史が今繰り返されています。

私の友人へ
JILL、あなたは本当に素晴らしい人間です。たとえあなた自身がそれを認められないとしても、あの日からいくつもの辛い出来事を越えて、今も笑っているあなたを見ると、私は自分もそういう人間でありたいと思うし、人間もすてたもんじゃないと思えます。
ありがとう。あなたが、あなたでいてくれて
(2003/07/27)



 このコーナーではB&B-The One Hundred のオーナーのYOKOさんからのメールを掲載させて頂いています

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ブルックリンにあるB&B、ザ・ワンハンドレッドのオーナー。アジア、中東、アフリカ、ヨーロッパを旅した紀行画家。

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