Vol.17 パッキング(旅に必要なもの)


以前、BBSで「ホテルのお部屋にあってほしいものは何ですか」という質問をさせていただきました。

すると想像を超えたアイテムが登場し、旅に必要なものは、その人の旅だけではなくその人自身を表現するのだと気付きました。


さて、旅行に何を持って行くかは、やはり回数や経験から学ぶ部分も多く、失敗や成功があると思います。でも、どれが間違いで、どれが正しいかといったものはなく、一人一人旅のスタイルが違うと、荷物の内容も違ってくるのです。


デザイナーの友人は、それが安宿に泊まる旅でも、普段もったいなくて使っていない最高級のシルクのパジャマを持ってきます。彼女いわく、「疲れる旅行の間だからこそ、自分を居心地良くしてくれる物に包まれて眠りたい」と言うのです。ちょっと元気のなかった私に、一番香りが強いという青いヒヤシンスの花を買ってくれて、「最後にバスタブに浮かべて入るといいよ」と教えてくれました。

学生時代サイクリング部にいた友人は、いまだに当時の教訓を守って最小のパッキングで旅をします。(ちなみに、山岳部の人は訓練もかねて特大のリュックを持って行きます)持ってくる洋服、下着は捨ててもいいものを中心にし、最後はそれらを処分して、お買い物した物たちを持って帰ります。飾り気がなく、シンプルな彼女は、「これがなければならないというものは何もない」という潔い美しさと旅しています。

グルメの友人は旅先でかならずお皿を買って、マーケットで買った果物や、お惣菜、ケーキなどをお部屋でお皿の上に載せて、優雅にお食事です。街角のケーキも、彼女のお皿の上で幸せそうに見えました。

また、必ず旅先でマグカップを買って、それで歯磨きしたり、ジュースやワインを飲む別の友人はいつも陶器に触れているのが好きだったのか、陶芸作家になりました。家にはきっと、旅の思い出のマグカップが旅の数だけ並んでいることでしょう。


変わったところでは、

中国の砂漠で会った人は(世界中どこでも、この国から来た旅の達人に会いました)、胸のポケットにパスポートと歯ブラシを入れただけの身軽さで、溝で寝起きして旅していました。

イスタンブールのユース・ホステルで会った人は、どの国に行っても夜はカジノで遊ぶからと、ぼろのリュックにスーツを一着入れて旅していました。

パキスタンのカラコルム・ハイウェイで会った人は、世界中で釣りをするのが趣味と、どこに行くにも釣竿と二人旅です。


そして、私はいつもバラの香水と本を持ってゆきます。というとかっこいいのですが、これには貧乏旅行の経験から、「夜眠る時どれほど宿が汚くてシーツが臭っても、バラの香りの香水をつけて本を読めば、周りのことが気にならないから」というひどく実用的な理由があります。今ではその香りに私のほとんど全ての旅の思い出が含まれていて、その香りを嗅ぐと旅人に戻ったという実感がわきます。


どう旅するかは、どう生きるかですね。旅に必要なものは、自分が生きるに必要なものたちです。出発直前に自分のかばんを眺めてみて、「これが私」としみじみ思います。

旅行までに何度も詰めなおし、個性的で自分らしいパッキングをしてください。


もう旅は始まっています。
(2004/07/20)



 このコーナーではB&B-The One Hundred のオーナーのYOKOさんからのメールを掲載させて頂いています

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ブルックリンにあるB&B、ザ・ワンハンドレッドのオーナー。アジア、中東、アフリカ、ヨーロッパを旅した紀行画家。

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