Vol.08 9.11, NY with the wind


  9月11日、ニューヨークは風の中にありました。
 早朝から取材のヘリの音で起こされたものの、街は普段どおりの表情で、人々は仕事に、学校に向かい、まるでいつもと変わりなく過ぎました。強い風に揺れる木漏れ日の中、子供達の笑い声が裏の幼稚園から響くのを聞いていて、何もない、日常こそが一番素敵だとしみじみ思いました。

 この1年でニューヨークが見せた回復力に、人間の強さを見ました。どんなにこの街が巨大でも、そこに生きる人間がいてこその、このエネルギーなのだと教えられました。
 そして、この日をいつもと変わらなく過ごそうとするニューヨーカーに、人間的な強さと弱さを見つけ、またニューヨークが好きになりました。

 ユニオン・スクエアのスターバックスで朝のコーヒーを飲んでいた親友が言うには、午前8時45分ごろ、スタッフの一人が「これからテロの犠牲者に対し黙祷をささげます」と、店内に響く声で言うと、そこにいた全ての人が沈黙したそうです。
いつもは騒がしい朝の一場面が静寂で包まれ、47分ちょうど、1機目の飛行機がワールド・トレード・センターにぶつかった時間に、どこかで消防車のサイレンが鳴らされる音を沈黙で聞いたと彼は言いました。

 テレビで式典を見ながら、政治家も、遺族も、白人も、黒人も、アジア系も、ヒスパニックも、アラブ系も、大人も、子供も、全ての人が一緒になってグラウンド・ゼロの砂埃と涙と笑顔の中で立っている姿が、まるでニューヨークそのもののようだと思いました。世界を敵と味方に分けるアメリカの方法ではなく、混沌の中で共に生きてゆくニューヨークのやり方には、将来分かり合えるかもしれないと言う期待を抱くことができます。まだ、この国は若いのです。

 これからも、この街を見つめてゆこうと思います。

 
 9月12日秋のニューヨークより
(2002/09/13)
 B&B-The One Hundred のオーナーのYOKOさんから頂いたメールをこのコーナーでは掲載させて頂いています。

▼ YOKO's Profile
ブルックリンにあるB&B、ザ・ワンハンドレッドのオーナー。アジア、中東、アフリカ、ヨーロッパを旅した紀行画家。

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Brooklyn, NY11217 Vol.08
Text by YOKO

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