#09 ガイドブック・ライターもツライぞ


  「NYが大好き」という要素がPIYOKO一味全員の共通事項です。その中には文筆業に携わってる人間も何人かいます。結構文系なんです。PIYOKO以外は(笑)。

 あゆちゃん(仮名)もその中のひとり。彼女の職業はフリーライター。 ルックスもOKな彼女は、NYに語学留学していたこともあり、某ガイドブックのライター仕事を請けることにしました。このガイドブック、超有名すぎて名前を出せません。ゴメンナサイ。フルカラー多用のガイド・ブックとだけ言っておきましょう。 彼女の任務は20日の間に、NYに滞在しつつ、SOHO、チャイナ・タウン、ノリータの店やレストランを、自分で約数百件ほどアポをとり、ある程度の写真を撮り、帰国した後に文章にまとめること。拘束時間が多い割に金額面で割の合わないところはありますが、大好きなNYに行けるというメリットもあります。

 ところが。 「ちょっとガイド・ブックの仕事をなめていたわ……」 あゆちゃんの帰国後報告の一言目はこんなぼやきでした。予算の都合で滞在先ホテルのランクはかなり低く、トイレ・シャワー共同という悪環境。さらに追い討ちをかけるように、なんとカメラマン(女性)まで同室。NYで「トイレ、シャワー共同」という程度のホテルが、どのくらいの部屋の広さか、そりゃーもぅ、ご存じの方も多いと思います。普通の旅なら荷物を広げるとき、ちょっとだけ不快な思いをするだけですむでしょう。しかし、彼女と同室なのはカメラマン。カメラマンの荷物がどれくらいになるかというと、フィルム数十本以上、一眼レフカメラ本体、レンズ各種、照明器具などなど、そのどれを取っても「重く」「デカイ」、なおかつカメラ本体は「こわれやすい」もの。さらに20日間の滞在の荷物が加わるのです。もちろん彼女にしてもある程度写真を撮ったり、記録などをしなくてはいけないわけですから、普通の観光客のような身軽さではありません。そんな荷物過多なオンナ2人が、狭い部屋に押し込められるわけです。それも20日間。おお恐ろしや……。

 肝心な現地でのお仕事のほうも、「前倒しに仕事を進めて、一日ぐらいはオフを作って自分の好きなNYを堪能しよう」という魂胆があったらしいのですが、個人的に彼女がNYを回れたのは、どの店も閉まっていて仕事にならないサンクス・ギビング・デーだけ。当然自分の行きたい店もお休みです……。「だから中国人か韓国人の店しか開いてなかったわ」 そりゃそうだよねえ。

 「それからね、私がSOHO、チャイナ・タウン、ノリータを任されたのには理由があったのよ!」 あゆちゃんが言うには、なんでもチャイナ・タウンは不法滞在者が多いためか、はたまたシャイなChina Town民族性か、「とにかく写真を撮らせてもらえない&非協力的」なのだそうだ。今まで出版されているNYのガイド・ブックを見てほしい。チャイナ・タウンの広さを考えると、明らかに情報の不足が感じ取れる。写真にしてもそのほとんどが、外から店の外観だけをパシャっと写したものか、自分がオーダーして不自然きわまりないものばかり。そういえばBRUTUSもNY特集の予告では随分意気込んでいたのに、実際チャイナ・タウンだけ情報が薄かったような……? 「今までのチャイナ・タウンの担当者がみんな玉砕しているんだっていう話で……。それで私に白羽の矢が立ったって言うのよ」 。つまりどういうコトかというと、彼女のルックスで中国人男性を鼻の下を伸ばし、「取材OKアルネ〜」と言わせるという作戦なのだ!すごーい!コレが成功したら、NYのガイドブック業界の中では先手を取ったとも言えるかもしれない。実際、彼女はJoe's Shanghaiでは男性店員に握手攻めに遭ったこともある。可能性はあるかも!

 「ところがね、現実は全然甘かったのよ」 覚悟していたこととはいえ、取材許可を申し出たと小籠包ころ、彼女のルックスをもってしても、店側の答えは軒並み「NO!」だったという。では彼女はこの苦境をどう乗り切ったのか? 「ひとりで食べに行ったわよ! しょうがないもん。なにが辛かったって、ひとりでいっぱい食べなくちゃいけない。一番ツラかった店は“ひとりJoe's Shanghai”の小龍包!例によって相席になりながら、ひとりで食べるフリして写真撮るの」。 ひとりで中華料理店の丸テーブルに座り、小龍包を食べに来る女。店員はそんな彼女を見てなんと思ったのか、興味深くはあるけれど……。

 彼女の担当しているエリアでは、やはりチャイナ・タウンだけ不自然なカタチでの掲載となるのだろうか? PIYOKOにはそこまで突っ込んで聞くことは出来ませんでした。自らの体重(の増加)を犠牲にしてまで仕事を全うした(?)彼女が不憫でならないけれど、とりあえず彼女の仕事は現在進行形で進んでいるらしい……。ガイドブック制作とひとことで言っても、底辺ではこのように涙なしでは語れない状態(ちょっと大げさ)で作られているのです。今までガイドブックに騙されたり、情報が古かったり、ちょっとだけ不平不満もあるけど、本の出版に携わっている彼らの努力も少しは認めてあげたい、そんな優しいココロになったPIYOKOなのでした。

 

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